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私は浴衣に身を包んだ。
毎年ある阿波踊りだが、恵里子と一緒で、どこかワクワクする。
「ごめん、待ったー?」
待ち合わせたのはカラオケの前。もう人だかりができている。
「ううん、今来たとこ」
私は恵里子と手をつなぎ、はぐれないように阿波踊りがある街道から少し離れた公園に身を寄せた。
「昨日さ、初めて出会った男友達に阿波踊り誘われたんだけど断ったんだ」
といいながら公園の椅子に腰を下ろした。
「えっ?なんでー?チャンスじゃない。呼べばよかったのに」
恵里子のせいだなんて口には出せない。
でもチャンスと言われて私は心に浩介が浮かんだ。
確かに仲良くなるきっかけを逃したのかもしれない。
浩介自身、身なりも服屋とあってか格好いい。私のタイプでもあった浩介。
今になっておしい気がした。
「また呼ぶよ。阿波踊り4日あるし」
そう、毎年行われる阿波踊りは4日ある。
その4日それぞれ踊るグループは違う。
「そうだね。あ、始まったよ」
賑やかに街道で踊り出す阿波踊り集団。毎年みてもすごいと思う。
「あれ?理恵ちゃん?」
油断していたら、そこには話題にでた浩介がいた。
「浩介君。また会ったね。誘い断ってごめんね」
そういいながら少し頬を染めたのを団扇で隠した。
「はじめまして。恵里子といいます。よろしくね」
恵里子はカッコいいじゃんと言わんとばかりに肘でツンツンしてきた。
「ああ、よろしく。理恵ちゃん気にすんなよ。こうやって会えたんだし」
そういうと浩介は持っていたビールを一口飲んだ。
「うん」
私は少し気まずくて何も言えない。
「ちょっとブラリとしてみっか?」
浩介の誘いに助けられた。
阿波踊りを一周、二週、いくらまわったかわからないが、いろいろな踊りを見回って、私は浩介と恵里子と3人で盛り上がって解散した。
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