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露骨に嫌そうな声で俺に話す女子の声。
その声には聞き覚えがある。いや、聞き覚えではなくその声は間違いなく俺の敵の声。
少し横に視線をずらすとそこには顔を強張らせる浅田の姿があった。
「なんでって? ここは俺の席だからだよ。なんか文句でもあんのか?」
「大ありよ! よりによってどうしてアンタなんかが……」
「あっそ。嫌なら別の席行けよ」
「出来るならそうしたいわね! でも席は決まったんだから無理でしょ!」
あぁ~! 何なんだコイツは! よりによってどうして隣なんだよ!?
俺の楽しい高校生活は? 平穏な日々は!? 運命の悪戯なのか?
やってられっかよ……。あぁ面倒くせ。とりあえずこの性悪女黙らせっか。
「だったらつべこべ言わず座れや」
俺はそう言うと敵意剥き出しの瞳で浅田を睨んだ。
するとどうしたことだろうか。
先程とは打って変わり、強気な態度だった浅田はビクッと身体を震わせて静かに席に座る。
すると山田は同情してくれたのか苦笑いを浮かべて口を開いた。
「……お前も大変だな」
「ほっとけよクソが……」
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