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でもコイツに感謝するつもりは毛頭ない。
これはただのお節介で私は頼んだ覚えはないから。
それから私は真田と言葉を交わすことなく家へと向かった。
結局、真田は私の家まで荷物を持ってくれた。
「へぇ~、ここが浅田の家か」
私の家を見て真田はそう言葉を漏らす。
それよりも早く荷物を返して貰わなきゃ……。
「そうよ。てか文句あんの? 早く荷物返してくれない?」
私はそう言うと真田の手から買物袋を奪うように手に持った。
しかし、私のこんな冷たい態度を見ても真田は顔色一つ変えないでいる。
すると、真田の口からは思いがけない一言が……。
「意外と俺の家から近いんだな? ちょっとビックリした」
ハッ!? 真田の家って近くにあるの!? でもそんなこと私は興味ないし。
「あっそ。それじゃね」
私はそう言うと門を通り家の中へと足を運ぶ。
しかし、なぜだろう。このまま私は逃げるように家の中へと入って良いのだろうか?
いくら通り道とはいえ真田は私を気遣ってくれたし……。
でもそれはコイツのお節介ってだけで……。
しかしなぜだろう。この時の私は自分の中に少しだけ罪悪感を感じていた。
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