1516人が本棚に入れています
本棚に追加
/780ページ
「おう! じゃあな」
真田は私にそう言うと後ろに振り返り自分の家へと帰って行く。
どうするの私? 何も言わずにこのままにする? 男嫌いを理由に声を掛けないの?
自分の中に沸き起こる罪悪感と葛藤しながら私はどうするか迷った……。
――浅田を家に送った俺は自宅に帰ろうとした。
それよりも浅田の家が俺の家から意外と近いことにビックリしている。
とは言っても俺はアイツを何とも思ってはいないんだけどな。
それにしてもだ。結局浅田は俺に一言も言わないで帰っちまったな……。
少しだけ残念。まぁ俺のお節介だから仕方ないか。
僅かに抱いた期待に少しだけ落胆すると後ろから俺を呼ぶ浅田の声が聞こえた。
「待って!」
その一言に俺の足は止まり、身体は後ろを振り向く。
そこには荷物を家に置いて玄関前に立つ浅田の姿があった
「……ありがとう」
俺を呼び止めた浅田から出た言葉はまさかのその一言。
怒ったような態度でそっぽを向いている浅田を見て俺はクスリと笑った。
「はいよ!」
手を軽く振って俺がそう答えると、浅田はすぐに家の中へと戻っていく。
最初のコメントを投稿しよう!