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幼馴染が羨ましい?
それを俺に聞く諸君は頭がどうかしているとしか思えないと俺は言いたい。
あぁ、確かに俺の幼馴染は可愛くて成績優秀、品行方正、スポーツもできる天才……とまでは行かないがとても出来た奴だ。物語とかで言うなら男子の人気を集める学園のアイドルというやつだ。
だがな、ゲームとか漫画だと幼馴染が主人公のことを好きだという設定がよくあるのだが、そんなことは現実では一切ない、いやあってたまるものか。
むしろ、事実はまったくの逆だ。
【まったく、これだから幼馴染ってやつは。】
「起きなさいよ、このボンクラ!」
午前7時半。2月や12月が大嫌いな俺が気持ちよく寝ているところ、その腹部に大きな衝撃が飛んでくる。
「がふっ……うぐ、ぬぅぅ……!?」
腹を抱え、痛みに悶絶する俺を横目にそいつは何故か不機嫌そうに仁王立ちしている。
元凶たるこの女、七瀬朱莉こそ俺の憎むべき幼馴染というやつである。
「ボンクラ発言は見逃してやる……だがなテメェ、いい加減この起こし方どうにかしやがれこの鬼女……!」
「ふんっ、あんたが起きないのが悪いんでしょ。私は何度も声をかけてやったわよ。起こしてやっただけありがたく思いなさい」
「ふっざけんなこのアマ!! この仕打ちもいい加減うんざりしてきたところだ……いい加減俺の拳が怒りで真っ赤に燃えそうだぜ……!!」
「高2で中二病発病もいいけどさ、急いだ方がいいんじゃないの? まぁ、あんたが遅刻しようがどうでもいいんだけど」
「うるせー!! もっと丁寧に起こしてくれればこんな事態にはなんねぇよコンチクショウ! 着替えるから出でけアホ!」
はいはい、と言いながら奴は俺の部屋から出て行く。
静けさが戻った部屋。すぐにでも二度寝という至福の時間に浸りたいものだがそうしている時間もない。
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