世界一間抜けな出会い。

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僕は人が嫌いだ。 正確に言うと、人の行動の無意味さが嫌いだ。 同姓の友達と談笑したり、異性と付き合ったり、他人に注意されたり… この世の中で、人間の行っている行動全てが、無意味にしか見えないのである。 でも、そんな僕も、物心がついた頃からそんなにひねくれていた訳ではない。 昔は、喜んだり、努力もしたりと、決して感情豊かとは言えないものの、最低でも人並みには感情はあったと思う。 だけど、小学生高学年の頃に空手をやってから、今のような自分に変わったと思う。 理由は至って簡単である。 いくら努力しても、ほとんど勝ったことがなかったからである。 今、考えてみると、ただ単純に才能がなかったからだと、頭の中では理解できていた。 だけど、自分の中では、「努力をしても報われない。」、「頑張っても意味がない。」と、すっかり定着してしまっていた。 そう考えると、他人のコミュニケーションなども無意味だと感じ始め、中学の頃には、僕は孤独になっていた。 最近では、家族ともほとんど話さなくなった。 別に家族が嫌いなわけではなく、ただ興味が湧かないだけである。 個人的には、こんな性格を直したいとは思っている。 こんな性格だと、まともに社会に溶け込めずに、下手したら引きこもりなどにもなりかねない。 流石に興味が無くても、親の足を引っ張るわけにはいかない。 だけど、小学校の頃からの癖がどうしても抜けないでいる。 いくら頑張っても、結局無駄に終わってしまうのではないか… 「…考えても仕方ないか…」 僕こと、高校二年生の黒沢 黒露が、放課後の暇つぶしである教室の睡眠を止めると、残っていた奴らは一瞬だけこっちを向いて、そして何事もなかったかのように談笑などを続けた。 いつもはギリギリまで机の上で寝ているから、放課後になって30分後ぐらいで、まだ人がいる時に起きるなんて、確かに我ながら珍しいことではある。 まあ、アイツ等の反応なんて期待はしてないけどね… 「ねぇ、黒沢君が起きたわよ。」 「私、黒沢君が放課後に起きたの初めて見たわ。」 「私も私も。」 僕の話をするのは良いけど、もう少し小声でお願いしたいな、女子の皆さん。 まぁ、どうでも良いけど。 そして、僕はフラフラと教室から出て行った。
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