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母がいなくなったあとの父は一段と寂しそうな雰囲気をしていた。
見た目は『大丈夫だ。』と言うが私から見ると、とてもじゃないが崩れてしまいそうなくらい弱っていた。
父も精一杯、いなくなった母を受け入れようとしている。
でも、頭では分かっているが心がついていけない感じがした。
「お父さん…。お母さんってどんな人だった?」
「……急にどうした?」
いかにも泣きそうな声を隠しながら父は答えた。
「お母さんはきっと幸せだったよ。」
「……それはわからない。」
「なんで?お父さんは幸せじゃなかったの?」
ちょっとケンカ口調になりそうだったがうつむいた父の顔は今にも涙があふれ出そうだった。
「お父さんは……幸せだ。きっとこれからは一歩を踏み出すのが大変だけどな。」
涙をこらえて父は答えた。
その姿に私が泣いてしまった。
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