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「……平尾先輩、いらっしゃいますか?」
おずおずとした自分の声。
この声のせいで更に緊張が高まる。
ガサッ
返事がない代わりにビニールの擦れる音。
いる…のかな?
それともただゴミが乗っているだけ?
私にはこの高めの壁をよじ登る勇気はないな。
手は勿論身長的に届くんだけど…
とりあえず、もう1回だけ呼んでみようか。
「あ、あの、平尾先輩いらっしゃいますか?」
ふわあぁぁぁ。
緊張する…!!
心臓がすごく近くにある感じがするよ。
「…何?」
!!
いた。
ぬっと顔を出した声の持ち主は。
「って近っっ!!み、宮野、後ろもっと下がれ!!」
男性でした。
あ、そりゃそうか。
“お姫様抱っこ”は男性じゃないと重くて持ち上がらないし。
ってそうじゃなくて。
「おい、ほらあと10歩くらい後ろ下がって。」
……?
言われるがまま後ろへ。
何だろう、変な感じ。
思わず首を傾げる。
普通そんなこと言わないよね。
「あぁ…えーっと、宮野は男がダメなんだろう?」
…へ?
な、何でそれを知ってるの?
だってこんな事先生以外に話してない。
っていうか、話す相手いないのに。
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