§1

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でも、それぐらいの事だったら1人くらい心配してくれる子がいて、そこから仲良くなることが出来たに違いない。 でも、私の親族がそれを許さなかった。 どこから仕入れてきたのか、あるいは教師の会話から漏れたのかわからないが、私がこの学校の理事長の孫だという事実によって、否応なくクラスの中でも外でも浮いた存在になってしまったのだ。 だから、私には仲良くお弁当を食べる子がいない。 「1回くらい誰かと話しながら食べたいな…」 空になった弁当箱に蓋をし、横にそっと置いた。 ガッチャッ 「あれぇ?今日もここでお昼ぅ~?明日からウチらが一緒に食べてあげようかぁ?」 キャハハハと不愉快な笑い声と共に人が入ってくる気配。 ちらりと扉に目をやる。 今日は3人、か。 日常茶飯事の出来事にいつも通り無視する。 「無視かよ。」 笑い声が消えた代わりに冷たい視線。 相手にしたって結果は同じでしょう? また罵詈雑言浴びせていい気になって帰ってくんでしょう? なら相手にするわけないじゃない。 言いたければ勝手に言ってればいい。 でも最近ちょっと我慢ならない事がある。 「あんたさぁ、その服、校則違反だよね。」 つかつかと私の所まで来て、背を預けていたフェンスをわざとらしくガシャンッっと音を立てて掴んできた。 それ、威嚇しているの?
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