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心臓がバクバクいってる。すごく緊張する。時間は…まだ、大丈夫よね。予定より少し遅れるのが、良かったのよね。 それにしても、ここの最上階のワンフロアなのよね。 やっぱりすごいよね。立川さんって、逆玉の輿なのかな? あっ、時間。部屋番号を押して… 「いらっしゃい。巳波(みわ)さん。扉開けるわね。」 インターフォン越しに『紫川様』の鈴のような声がホールに広がっていく。 「はい。」それだけ言うのが精一杯だった。 恥ずかしい。もう少し気のきいた受け答えが出来ないのかしら。 エレベーターが最上階で停まると、エントランスが広がっていた。 扉が急に開いた。ぱっとそこに華が咲いたような、風が吹いた。 「どうぞ。巳波(みわ)さん。」 地色が山吹色の縦じま一見地味そうだけど、『紫川様』が着ると華やかさがでるなぁ~。 「お邪魔します。」見とれてしまいがちな自分に、内心苦笑いしながら『紫川様』の後ろについていった。
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