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少年の動きがピタリと止まったかと思えば桜の木に立て掛けてあった大小の刀を腰に差して立ち上がった。
猫も撫でられる動きが止まると同時に耳をピンッとさせ辺りの音に集中して見回した。
「…ゆっくり出来ると思ったんだけどな~」
「にゃうん《丸一日ゆっくり出来たんだから良いじゃん!》」
少年と猫の会話の直後に叢(くさむら)がガサッと動いた。
と、同時に少年と猫は弾かれたようにその場から町に向かって駆け出した。
「しまった?!逃がすな!追え!!」
叢から男の声がしたかと思えば、数人の男達が叢から飛び出して少年と猫を追い掛ける。
「これぞまさに、リアル鬼ごっこ!」
「んにゃん!《冗談言ってる場合かー!》」
少年はニヤリと笑みを浮かべて言えば猫のヒステリックな怒鳴り声が少年の頭に響いた。
そして、少年と猫はそのまま町の人込みに紛れ込んだ。
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