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え…………
嘘でしょ?
「見積課の菅野です。
三田さんお願いします」
『三田さんなら外出で戻りません』
「…………戻らない?」
『お急ぎですか?』
「ええ、かなり」
『どちらの物件ですか?
三田さんの担当ならわかるかもしれません』
設計部に図面を持って行くと
ミタ姉の課には御坂しか居なかった。
「さっき電話受けてくれたの御坂?」
「はい」
「…………ごめんね」
「謝らなくていいですから
何が問題なんですか?」
落ち着いた声で
落ち着いた態度で
御坂は対応してくれた。
「ごめん、御坂助かった」
時計は22時を回っていた。
「メールちゃんと送れました?」
「あ、はい」
「……良かった。
これ、三田さんに引き継いだの自分だったので」
眼鏡を直しながらそう言った。
「御坂、軽くご飯食べて行かない?」
「…………」
「この間のコーヒーのお礼」
そう言うと、「変な人」
と、ぼそっと呟いた。
御坂は殆ど話さない。
笑いもしない。
だからカウンターでラーメンくらいが丁度いい。
「付き合わせて悪かったね」
お店を出て御坂を見上げる。
「いえ」
「じゃあ」
軽く手を挙げた。
御坂は私を真正面にみたまま
口を開く。
「今日は吐かないで下さいね」
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