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月曜日、朝。
エレベーターに乗った人が
各階に降りて行く。
12階で数人が降りると
残ったランプは一つだけ。
23階まで一緒なのか。
エレベーターの中には私ともう1人。
話した事は無い他部署の男性。
銀縁眼鏡
長めの黒髪
白い肌
神経質そう……。
と、思ったら。
「菅野さん」
「……はい」
名前を呼ばれて驚いた。
「土曜日、彼氏といるとこ見ました」
彼は前を向いたまま
そう報告した。
「…………はぁ」
相槌とも言えない言葉が口から出た時
目的地に着いた電子音が響いた。
先におりるよう促される。
「いい笑顔でした」
その声に振り向くと
後ろ姿の彼が去って行く所だった。
何なんだ?
私は首を傾げて彼とは反対の自分の部署へと向かった。
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