第三話:悪役の彼

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俺は先程の返事が気に食わずに、曖昧な返事を返す。 ラジアはそんな俺の様子を気にも止めず、注意点を読み上げていった。 ―――ひとつ、裏切るな。 「もし<英雄>側に裏切ったりしたら、死ぬだけじゃ済まされない。家族や身内、関係者は誰だろうと殺すからね。肝に命じておいて」 ―――ふたつ、隠し事はするな。 「仲間全員に全てを明かせ、とは言わないよ。せめてボスや幹部には隠し事をしないようにして」 ―――みっつ、<英雄>を殺せ。 「殺していけば“ランク”がアップしていく仕組みになってるんだ。まあ…ギルドみたいなものだね」 俺は三つの掟らしき注意点を、頭で何度か繰り返してみる。 完全に覚えた、と理解するとラジアに向き直った。 「了解」 短く淡々とした言葉ではあるが、これで俺も<悪役>になったことを表していた。 .
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