第一話:悪役と英雄、その立場とは

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そして昨日、ギルドが影を潰した。 生き残りは誰一人いない。 大層無惨な殺され方だったそうだ。 ある人は爪を剥がれ、足の裏には釘が刺さっており、焼かれたあとがあったそうだ。 またある人は、目玉に傷が無数にあったそうだ。 また、耳たぶだけが削ぎおとされていた、とも聞いた。 これで<英雄>と呼べるのか? いいや、人々は呼ぶのだ。 <悪役>を倒せば、例えどんな残虐な殺し方をしても<英雄>と称えられる。 しかし、逆の出来事は許されない。 <悪役>が<英雄>を一人でも殺せば、一般人からとてつもない顰蹙(ヒンシュク)を買うことになるのだ。 それくらいこの世の<悪役>は、嫌われている。 それは誰が見たって一目瞭然。 俺だってすぐに分かったさ。 .
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