3人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
三日後、僕は目覚ましが鳴る20分も前に起きた。
知らない天井が見える。いや、新しい天井というべきか。まだ荷ほどきの済んでいない僕の部屋は段ボールやビニールテープで散らかっていた。
リビングへ行くと母さんは二人分の朝食を作って待っている。
「あれ、父さんの分は? 」
「お父さんね、新しい会社に顔出ししに行ったのよ。最初が肝心だーなんて言って30分も前に出ちゃったんだから。ほら、あんたもさっさと食べて支度しなさい!今日は転入試験なんでしょ! 」
そう、引っ越しの時期が中途半端だったため、公立の入試には間に合わず、仕方なく私立を受験することになった。
その試験が今日ある。
手早く用意を済ませた僕は玄関に向かう。
「行ってきまーす」
最上階からの景色を一瞥し一気にエレベーターまで走った。ちょうど閉まりそうなドアに向かい叫ぶ。
「すいませーん乗りまーす!!」
最初のコメントを投稿しよう!