第1章 転校

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舗装された綺麗な道路を歩きながら、空気にも味があることを僕は初めて実感した。都会の空気は不味くてしょうがない。 僕が受験する学校は自宅から歩いて5分ほどの所にある真新しい私立高校だ。30分もかけて登校していた頃を思えば、空気の不味さも我慢できるというものだ。 試験会場と言うにはあまりにも小さい部屋だった。しかも机は一個。 まあ考えてみれば私立の受験はもう終わってる訳だし当然といえば当然だ。ひとつしかない机に座り、試験が始まるのを待った。 「どうも、こんにちは。」 おそらく試験の担当になった先生だろう、若い男の人が入ってきた。僕は軽く会釈をし、渡された解答用紙に名前を書いた。
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