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一週間が経ち学校にも少しずつ慣れ始めた頃、月見里が放課後遊びに行かないかと誘ってきた。
都会の遊びが知りたかった僕は何の躊躇いもなく誘いに乗った。
「なあ、都会の遊びってどんな感じなんだ?」
「いろいろあるかなー。けど最近の流行りはやっぱ名探偵ごっこだぜ!! 」
「名探偵ごっこ?なんだよそれ幼稚園児の遊びかよ」
「高校生の名探偵ごっこは格が違うんだよ、すげーリアルで楽しいんだ! 」
月見里に連れられて来たのは少し前に潰れたらしい廃校だった。潰れてから間もないせいか廃校という雰囲気は無く、休日の学校のような雰囲気を出している。
月見里は慣れた手つきで鍵を開けるとグラウンドの方へ歩いて行く。月見里の後を追いグラウンドへ行くと、そこには僕と月見里を除いて5人の高校生(制服が違うので恐らく他校だろう)が集まっていた。
「おーいノムさーん、友達連れてきたぜー」
ノムさんと呼ばれた男は僕を品定めするような目で見ると
「君、皆に自己紹介してくれ」
うん、名前も知らない奴を仲間に加えるのはおかしいよな。とひとりで納得した僕はいつもより大きな声で自己紹介を始めた。
「一 一(にのまえ はじめ)です。月見里君と同じ学校に通ってて以前は田舎に住んでました。好きな食べ物は……」
「あー、そんなのいいから好きな小説のジャンル教えてよ」
ノムさんに言われた。なぜ小説のジャンルなのかという疑問を持ったが、この集団の目的を思い出せばすぐわかることだった。
『名探偵ごっこ』
なるほど、推理小説が好きかどうか探ってる訳か
そうとわかれば答えは一つ。
「推理小説が好きです」
そう言った瞬間、月見里を除く5人の顔つきが変わった。
これは同じ趣味の仲間を見る目じゃない……相手の心の奥底まで見透かし、陥れようとする者の目だ。
どうやら僕は地雷を踏んでしまったようだ。
月見里がやってしまったなというような顔で僕を見ていた。
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