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「違う…豊嶋君は…転んでた」
誰かがそう言った。
その話し方…俺は知っている。
紛れもなく月野さんだ…。
「えっ、月野さん見てたの?」
「うん…」
しばしの沈黙…
「月野さんが見てたなら…そうかな…」
するとクラスのみんなは納得したように自分の席へと戻っていった。
あれ、俺の入るとこも無く話は終わった?
「豊嶋君…そうだよね…?」
「うぇ?あ…うん」
ふいに話しかけられた俺は変な返事をした。
もしかして…かばってくれた…?
そして一応クラスの中では誤解は解けた。
みんな理解ある人達で良かった。
「豊嶋君…?」
「えっ、あ…さっきはありがとうな?
その…かばってくれて…」
「…かばう?…私はかばってなんか無いよ…
私は…豊嶋君が言ってたこと言っただけ…」
「へ?そうなのか?
まぁ何だろうと助かった!ありがとよ」
月野さんのはこくんと頷いた。
そして俺はそのまま授業を受け、どの教科の時間も傷の理由を聞かれたが全て転んだで通した。
だって虐待じゃないのに警察なんか呼ばれた日には…考えただけで恐ろしいからな…
そして俺はそのまま放課後までやり過ごした。
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