光へ another side

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 彼は私と同い年の大学生で、ほぼ毎日大学に通い、家には居ない。当然、その家の世話は私が勝手にするようになり、掃除、洗濯、炊事とほとんどを担った。   彼は申し訳ないと言っているが、私としては花嫁修業になるから、家事をさせてもらえるのはありがたかった。  ……彼は本当に優しかった。殆ど名前しか知らないような相手と一緒に生活をしてくれる、休みの日には映画や図書館に連れて行ってくれる。  なぜか、心の底でふと思う時がある。 “私は、彼に会うために生まれたのではないだろうか……”  そんな事、無いのに……  それでも、彼の優しさに応えてあげたくて、私もいつまでも落ち込んでるわけにはいかないと思った。親が居なくなれば悲しいし、学校にも行けないけど……  せめて彼を支えて、恩に報いなければ、人間として失格だと思う。  私の今後よりも先が見えている物から処理した方がいいかな。  もちろん、彼は私よりも頭がいいし、勉強の面だと私はどうしようもないね……
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