光へ another side

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 生活は決して豊かじゃない。彼の両親が出してくれているのは住んでいるところの家賃だけで、食費・医療費・交際費は全て彼がアルバイトで賄っていた。  私と言う同居人が出来てからは余計に生活を圧迫することになったし、彼の趣味だと言う映画鑑賞にも行かなくなり、部屋にあったゲームやDVD全て売られた。 「ゲームなんてやらなくても死なないし、かえって勉強に集中できる。」 彼はそう言った。ムリをしているのが目に見えていた。 私も働きたいと言ったが、彼は何故かそれを認めようとはしなかった。その理由が何となく聴き辛くて、私は素直に首を縦に振るしかなかった。  私に出来る事は限られたお金をやりくりして、何とか彼に美味しい料理を作ることだけだから、いろんな本を読んだし、慣れないインターネットのサイトを目を皿にして探し回った。  その成果か、彼は私の料理をおいしいと言って喜んで食べてくれるようになった。  それが嬉しくて、スーパーで買い物をしているときに顔がにやけてしまいレジの人に引かれてしまったこともあった。  金銭的なマネジメントも少しずつできるようになり一か月に一回くらいは2人で映画を見に行く余裕が出来てきた。
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