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午後、12時。
すばるくんとの約束通り、
いつもの公園へ向かう。
公園に入り、辺りを見回せば
「‥あ、すばるくん!」
ブランコに乗った彼を発見。
膝の上には、‥猫。
『‥マル!遅いわ!』
何だ?これ。
「あ、ごめんなさい‥」
とてつもない、既視感。
この光景、何処かで見た‥?
『‥マル?早よ座り?』
「あ、はい‥っ」
どうして、なん?
どうして、今、このタイミングで
昨日見た夢を思い出すん?
『マール、?どないしてん。
ぼーっとするなんて、
マルらしくないで?』
「あ、大丈夫ですよ!」
『無理は、すんなよ?』
「はい!」
ニコッと笑う、すばるくん。
それに僕も笑顔を返し、
ブランコに腰掛ける。
そして、いつものように駄弁っていた。
「―‥あ‥っ」
するり、すばるくんの膝から
猫が逃げ出した。
‥何でや?
昨日見た夢と‥まったく一緒や。
―‥ぎゅ‥っ
『‥え、?』
気付けば、僕はすばるくんの右手を
掴んでいた。
「‥すばるくん、今日はもう
帰りましょう?家まで送ります」
『‥お、おん』
すばるくんの手を引き、
いつもとは逆の方向へ進む。
『‥マル、こっち遠回りやで?』
「別にええんです。‥気分‥かな?」
公園を出て、そのまま道に抜ける。
「―‥?」
そこで気付く、妙な違和感。
辺りを見回すと、周りの人は皆、
上を見上げ、口を開けていた。
不思議に思い、僕も上を見上げると
―‥細長い何かが、
僕達の頭上に降ってきた。
「すばるくん、危な―‥」
すばるくんの手を引き、
落ちてくる何かの落下点から
すばるくんを避けようと思った。
だけど、するりと僕の手から
すばるくんの右手は抜けて
―‥ド‥ッ
「―‥すばる‥ッ!」
鉄柱が、すばるくんの体を貫いた。
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