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―落下してきた鉄柱が
君を貫いて突き刺さる―
劈く、悲鳴。
騒然とする中で
―‥チリーン‥
何処かで、風鈴が鳴った。
場違いな風鈴の音は、
街路樹の隙間で空廻っている。
「―‥っ!」
再び、視線を感じる。
顔を上げれば、また、陽炎がいた。
〝夢じゃないぞ〟
陽炎の口は、確かにそう動いた。
不気味に嗤う陽炎。
「―‥っ、」
またしても、目が眩む。
段々とぼやけていく視界。
その中で、最後に目にした君の横顔が
「―‥笑っ、てる‥?」
何だか、笑っているような気がした。
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