晴れのち雨

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チュンチュンッと。 朝の挨拶とばかりに忙しなく囀り、ガサガサと木々を揺らしては地味な騒音を奏でる小鳥達。 それら朝のお決まりオーケストラをバックにして、起床の時刻を告げる無機質なアラーム音を片手で止め、俺はのそりとベッドから体を起こした。 おはよう。 今日も良い朝ですね鳥野郎共。 「ふぁあ…………変な夢見た…………」 欠伸を一つ、悪態沢山。 朝っぱらから目覚めの悪い俺は不機嫌さ丸出しでそう呟いて、ベッドからゆっくり降りてカーテンを開いた。 途端に鳴り響く、パッパーというけたたましいクラクション。 不愉快さが更に増した気がして眉間に皺を寄せる俺。 続いてそれに追い討ちをかけるように、ブゥウウンと重苦しい振動音がアパートのすぐ前の道路を通り過ぎていった。 ついっと目線を奥に向けると、その道路を挟んだ向かいの山田さん宅では、朝も早くから水魔法を使って爺さんが庭に水まきをしている。 今朝の夢では、近代化がどうとか魔法が衰退とか何とか言っていた気がするが……。 いったい何年前の話だそれ。 20XX年。 確かに近代化の波は世界中を襲い、人類は科学力という新たな力に憧憬し、皆誰もがそれを求めた。 一時期は、地球改造計画なんて話も一世を風靡した。 その時のお祭り騒ぎのありようと言ったら、前に歴史の教科書で見た何時かの日本のバブルとやら状態だったのだろう。 だが一度それが全人類に行き渡ると、あれほど熱中していた興奮は冷め、人々は次第に気づいていった。 ぶっちゃけ、魔法の方が便利で安上がりじゃね? 科学力にはそれなりのコストもかかる。 だが魔法や人間には出来ない、細かくて繊細な作業が科学には出来る。 かくして、病のように地球規模で流行った科学贔屓はあっという間に鎮火し、魔法と科学はそれぞれの欠点を補い合うかのように融合。 現在の大日本帝国のあり方に至る訳である。 ……昨日、『地球はこうして発展した』なんていうドキュメンタリー番組を見たからかな。 こんな夢を見るなんて、疲れてんのか? 俺。
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