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『そうだ、死んだ。
君の愛する者が、君の手に掛かって死んだ』
『雛が、俺の……手で……』
『あぁ、断っておくが君ならあの瞬間、ギリギリで手を止められた。
しかししなかった。
君は、自分が生き残れるなら誰を犠牲にしてもいいと、本能的に決めていたんだ』
『………………う』
毛が逆立つだけでなく、隆志の体から陽炎が見えてくる。
『違う、俺は』
『違わない。少なくとも高橋隆志の“肉体”はそれを選んだ』
『ちがう』
『ソウダ』
ロキの問いに、隆志は“二つの声”で返答した。
途端に、隆志の体は獄焔に包まれた。
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