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「……隆志」
「『そうだ、クリスマス!
一緒に過ごそうぜ! 二人で遊園地に行こう!
今度こそ、ちゃんとデートするんだ!』」
「…………隆志」
「『だから……だか、ら……』」
限界だった。
自分で自分を誤魔化すことはもうできはしなかった。
隆志はすべてをちゃんと思い出し、誰が雛を傷つけのかも理解した。
そんな隆志の頬を弱い力で撫でながら雛は微笑む。
「……クリス、マス…………一緒に、いら、れ……なくて………ご、め………………………………」
パタンッと、隆志の頬に触れていた手が落ちた。
「『……雛?』」
落ちた雛の手を取り、隆志は耳を近づける。
「『…………なぁ、なんて言ったんだ?
そんなんじゃ…………俺でも聞こえないじゃないか…………』」
『死んだよ』
いつの間にかロキは隆志の前に立って、雛の今の状態を簡潔に述べた。
『魂はまだだが、肉体が死んで離れるのも時間の問題だな』
『――死ん、だ?』
全身の毛が逆立っていき、隆志の獣化が進行していく。
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