1・コイヌとシンジンルイ

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「ご迷惑でなければ……」 そう言い残し、深町さんも僕の前から去っていき―― 「――……助かった」 どうしたものかと焦り始めていたところだったからだ。 そうして、それらの光景は――…… 深町さんは、なんだか昔の僕と似ている。 思い、少しばかり、同情してしまった。 それは、とても失礼なことかもしれない。何も知らない人のことを、僕と同列に扱うなんて……。 ないまぜの感情が心で吹き荒れ、後悔だけが最後に残った。 僕の内側だけの葛藤に巻き込むなんて、とても申し訳ないことだけれど、謝罪するのもおかしな話だ。 せめてものお詫びとして、深町さんの希望を叶えさせてもらうことにした。 ……これも、勝手な思考の行き着く先なのだけれど……。 どれが一番読みやすいか棚を目で追いながら、選別したものの知らせ方を同時に悩む。 っ、そうだっ! リストを作成して、桜ちゃん経由で渡してもらえばいい。 閃いてからの作業はとても順調だった。
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