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梅の花ほころぶ時期――
教えてくれた親友に感謝しつつ、これからはこの図書館だと通い始めた直後のこと。
――職員の森野さんに一目惚れした。
まずは、外見からだった。
黒縁眼鏡がとても似合う、地味かもしれないけど、柔らかな空気を纏う人。
でも、それだけのままじゃない。
当然だけど、私よりも低い、落ち着いた声――子守唄を口ずさまれたらたちまち眠りについてしまうであろう心地よいトーンが、絵本の読み聞かせの際には僅かに上擦って、それがまた格別。
森野さんは、お子さんからの人気もある。私が感じた空気感は現実間違いなんかじゃなくて、よちよちと歩く子から元気のいい子に至るまで、足に抱きつかれたり、突進されたりしている――その時の表情は、どうしたものかと困惑しながらも嬉しそうで、破壊力は抜群だと思う。
書架整理の時、目をきゅっと細める仕草――眼鏡の度数が合っていないのかと心配したけど、どうやらくせみたいで。その姿に遭遇できた日は、より心躍る。
制服代わりのエプロン着用が規定で、華美でなければ服装の指定はないのに、いつも清潔なワイシャツとネクタイを着用なところ。
少しどもったりしながら、利用者に丁寧に応対しているところ。
後半につれ、他人からしたら首を捻ることかもしれないけど、恋は盲目を体現しただけで問題なし。
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