1・コイヌとシンジンルイ

20/27
前へ
/165ページ
次へ
そして―― そう、だったんだ。私が嫌われてるんじゃなかった。 なんて安心する。 ……馬鹿みたい。 存在さえ知られていないのに、どうやって嫌われるというんだろうか。馬鹿みたい。 森野さんは、女性が苦手。 だから、あんなにぎこちなくなってしまうらしい。 そういえば、誰かとの会話を見かけ、違和感を感じる時は、大抵女性だったなと記憶を辿った。 ……それでも、近づきたいと思ってしまうのは……私のエゴだ。 けど他の理由も最近できて、もう少し、踏み込もうって決めた。 捨てられた子犬の警戒心を解くみたいに。 でも、それはどんな方法? 沢山たくさん、考えた。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加