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森野さんの視線はあちこちに揺れだし、落ち着きをなくし、身体の動きもぎこちなくなってきていたから、もう限界なんだなと思い退散することにした。
けど、そんな私よりも早く森野さんが動き、休憩時間が終わりだからと行ってしまった。その足は、僅かにもつれていた。
私はひとりになった中庭で、森野さんがいたベンチの隣、もうひとつのベンチに座った。
嬉しさと緊張で震える指先を自ら労わる。
そして願う。
願えるものの全てに願う。
――お願い。私、またここで森野さんと会いたい。
一番離れたところに座るから。
決して、それ以上近づかないから。
だからお願い――
また、そこに居てください。
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