1・コイヌとシンジンルイ

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   ―*―*―*―*―*― 休憩終了まではもう少しあったけれど、今日はもう、ここにはいられなかった。 自分に落胆してしまい、このままの状態で仕事に戻るのもどうかと……立て直す時間が必要だった。 出来うる限り、中庭は憩うためだけに使いたい。 先にこの場を去ると言う深町さんを待つのももどかしくなって、不自然に、僕は館内に戻ってしまった。 少しばかり、動揺したんだ。 帰ろうとする深町さんの背中を目にし、思い出した――確か以前にも、と。 ああそうだ。言われた通り、少し前のこと―― ――閉館時刻を過ぎても熱心に読書する深町さんに、僕はどう伝えようかと足踏みをしていた。 散々迷い、声をかけると、深町さんは一瞬で理解してくれ、帰ってくれた。 ……そして……落ち込んだ。 現実はこんなにもあっけなく過ぎていってくれるのに僕は……。 もっと変わらなければ。あの時、切に思ったのだった。 そんな、人生にもかかわる局面、きっかけのひとつでもある人のことを、これほどさっぱりと忘れてしまっていたなんて。 女性だからとかそんな理由を、僕の情けない部分が肯定するとか……どこかで、思ってしまっているのか? ……そんなままじゃ、変われない。 そして、
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