1・コイヌとシンジンルイ

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「アタシが協力しよっか?」 唐突に、背後に女性の声。 健人が時間を確認しながら笑う。 「早かったな、千花」 「先にお茶でもしてようかと」 頭上で交わされる会話を遮らないように振り返ると、当然だけれど、伊達さんが立っていた。 健人は中学から、伊達さんは高校からの僕の友人で、両者は恋人同士だ。 「森野君、久しぶりだねっ」 「うっ、うん。伊達さんは――元気そうだね。確実に」 夏休みに太陽の楽園にでも旅行したのか、伊達さんはこんがりと日焼けしている。黄色いノースリーブから伸びる腕や、真っ白な歯を覗かせる笑顔は健康優良児そのもので、いつもよりも一層元気そうだ。 「――で、協力は必要かな?」 僕の向かい側、健人の隣に座りながら、伊達さんが訊ねてくる。 「千花。いつから立ち聞きしてたんだよ?」 「んーと。健ちゃんが森野君を追い込みだしたとこくらい」 「してねーよ」 「はーい、そうだね。――ま、話の概要を理解出来るくらいには。お話、中断させないようにと思って」
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