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いきなりだが、僕の現状を説明しようと思う。
桜が咲き誇る4月。学年が代わり新たなクラスになったためか、大抵の生徒はクラスに残り新たな友人作りに勤しみ、部活に入っている連中は、新たな環境に慣れないのか、単に周りを囲む上級生に緊張しているかの新入生に寄ってたかり、自分の部に入れようと躍起になっている。
まぁうちの高校は、部活動が盛んな高校っ!って吹聴してるくらいだからな。
クラスに残らず、勧誘活動をするでなく、その雑踏をするすると抜け帰路にたっている異分子。それが、僕だ。
異分子となっている理由はちゃんとある。家には僕と親父の2人しかいない。その親父も海外に仕事に出ている。
実質1人暮らしな訳で、料理に洗濯、掃除に買い出し。家事は全て自分でやらなければならない。つまり、単に時間がないのだ。
その他は基本、他の高校2年の一般男子学生と同じである。
悲しいことに彼女はいない。
更にいえば女子の友人も数える程しか居ないし、その中で親しいと呼べるのは幼馴染の女子のみだ。その他は幼馴染経由の繋がりである。
悲しい限りである……。
新学期始まっての三回目の帰宅。
家には両親はおらず、いわば、一人暮らしの筈だ…その筈の我が家に帰宅し、いつもの用にドアをあけた…
しかし、しかしだ。
僕の目の前には、美少女が!!
的な展開が広がっているわけでは無かった…
そんな漫画や小説でよくある展開が広がっていたら、僕の人生は180度変わるだろう。
まぁ現実は厳しいもので、そんなこと、なかったのだが…
そう。無かったのだ。
家の内装が……!!
靴を脱ぎ捨て、一階から二階まで家中を確認するが、結果変わらず。
「…………」
沈黙、そして
「……え……ぇえぇぇぇーーーー!!!」
やべぇ!全く訳がわからねぇ!
「なんだこれ!?意味がわかんねぇぞ、おい!何だよ、外装だけとか!どんなビックリだこれ!なんで内装破壊を選んだんだ?絶対外装だけの方が楽に決まっている!!もはや破壊された事より、そっちに注目しちまうじゃねぇか!」
まったく、びっくりした。
何だよ…
漫画や小説的展開を、少しでも想像した自分が哀れに思える。
何?
突然現れた美少女が、破壊衝動に駆られてちょっとビックリまぜて
『内装だけ破壊してみました。てへ、はーと☆(not変換ミス)』
みたいな事をいって逃走したのか?
まだ、現実を認めない自分がいる。
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