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いや、一部では少しアブナイ感じの子に萌えるっていう男子もいるってわけだし…
「……萌えない」
はい、心が折れました。
改めて自分の家であるかを確認する。まだ現状を認めたくないが、外の表札を視界に入れた時点で、『他人の家』である可能性は早くも崩れ去った。
第一自分の持っている鍵で開けた時点でその可能性は無かっただろうに、そう判断する程の余力が僕は欠如している状態なのだ。
落ち着け、現実を見つめろ。家がこうなっているのは事実、今後の事を考えなければ。
しかし何だろう…いやに階段だけ無傷で残ってるだけに、我が家ながら異様さをかんじる。
ちなみに壁や廊下は傷だらけ。もう、ザッシュザシュのボッコボコだ。
階段を上り、かつての僕の部屋にたどり着く。
当然のごとく、何もなかった。
テレビやDVDデッキ、服や机、本なんて、本棚ごともってかれていた。
あぁ…あんなに必死になって、町中を駆け巡り揃えたライトノベルたち。
抜けてる一冊を買うのに、1日費やして、本屋7、8軒まわったっけ…
挙げ句の果てに、男子生徒の秘宝までもっていかれてる。
消え去った思い出を悔やみながらも、めげずに我が家を探索する。
あれだな、きっと。現状が現実離れし過ぎて、驚き通り越して、一周して冷静なんだな僕。
我ながら凄い精神力だと思うが、この家に褒めてくれる人はおらず、家具が取り払われ、傷だらけの壁や床が目に入るばかりだ。
ふと、そんな傷だらけの床に文字らしきものが刻まれているのに気付いた。
『拝啓葵咲彰様
用件は道で会ったときと同じだ。来てくれるなら、何かごちそうしよう。いま一仕事した後なので、懐がいっぱいなんでね』
「内装破壊の理由わかったぁ!!家の物品パクりやがったなっ!何がごちそうだ!わりにあわねぇよ!もはや、破壊じゃねぇ、ただの空き巣じゃねぇか!一気にランク下がったぞ、おい!」
しかも美少女とは程遠い、Yシャツに短パンの中年だし!
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