葵咲家

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あの中年に関わったからか?あの1日さえ、寄り道もせず、真っ直ぐ帰宅していれば…… 午前中で学校が終了と意気込んで遊びに行こうとしていたが、幼馴染やクラスの大半は部活の勧誘やらで出ばらっており、その他の連中も新たな交友関係と宜しくやっているようで、誘う相手がいなかったという寂しい状態。 ヤケになって"独り"で駅前のカラオケ店で三時間パックを頼んだ、そこが僕の選択ミスだ……! フリードリンク付きという誘惑に打ち勝っていれば、"孤独"を味わずにすんだのに……!! 「はは……この家のように、中身がない、荒んだ人間って…事…か……」 孤独を示唆するような家の有様に、狂ったように乾いた笑い声をあげながら、フラフラと彷徨う僕。 訂正。 精神力は底をついてました…… 関係無いような事から、思わぬ悪手にいく事ってあるよねっ! 「…あ……き……」 あぁ、僕をよぶ声がする。 さぁ僕の愚行を笑えばいいさっ! 「彰!!」 「ぐへっ!!」 何か突き刺さった気がする!! スクールバックの角が直撃した訳だが、和樹のザツな使い方から保護テープ的なのが所々はがれ中の金属が覗いてる危険な鞄だ。 「……ったく…なにニヤついてんだ、おめーは…」 強烈な痛みから、ネガティブスパイラルの中に浸っていた思考が、現実を捉える。 ハッとなり、周りを見回す僕。 いつの間にか外に舞出ていた僕だが、家の中は見られずにすんだ事は幸運だ。 僕を現実に復帰させた、鞄という名のマジックアイテム(笑)を肩に担ぎ、こちらを見ている少年がいた。 佐藤和樹。 俺が幼稚園のころから一緒で、腐れ縁で今も同じ高校に通っている。 ルックスは良く、全体的にバランスが取れているが、何故かモテない。そんなとこまで腐れ縁だ。 「あっ……今度は泣き始めやがった……」 和樹のやろう…… 僕を可哀想な子を見る目で見下ろしてやがる…… まぁ状況的に、可哀想な子だけどさ。どんなだよ、内装がない家って…… 「お~い、あーきくん?話聞いてる~?」 「……なんだよ」 「なんだよって……話聞いてなかったのかよ……」 「聞いてなかったんだよ……なんだよ?」 「ったく、もう一度言ってやるよ。」 和樹の顔が引き締まる。 すんげー凛々しい顔立ちになって、元からのスペックもあり、もしかしたら「you来ちゃいなよっ!」って誘われそうなオーラさえ醸し出しているが、僕は真にそう思えない。
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