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だが最終的に、辛うじて学生服が識別信号としての役割を果たし大事に至ってはいないが、この識別最終安全装置がパージされると、いよいよ僕の扱いが危機的なまでに、女生徒とされる。
では、その瞬間とはいつか。
体育の時間である。
僕の通ってるいる高校、私立桜菜高等学校は、私立である為か設備に力を入れようとしてか、何故か男子にも更衣室が完備されている。別に教室で良いと思うのだが、中学は公立であり、他の私立高校を見たわけでないので、これが異常か普通なのかわからない。
当然体育の授業前は生徒で溢れかえる。使わないで教室で着替える奴もいるが、更衣室のロッカーには鍵付きなので貴重品が盗まれる可能性を減らす為、先の連中を除き大抵はこちらをつかう。
僕も男子生徒なので、当然男子用更衣室に入って着替える。そこで悲劇が幕をあげるのだ。
僕が更衣室のドアを開けると、目の前には下のズボンだけの奴、逆にワイシャツで下はパンツだけの奴、パンツ一丁の連中で馬鹿騒ぎをしてる奴らもちらほら。
それらの連中全員が僕の姿を視界に捉えると、一様に黙りこくり、気まずそうに目を逸らしながら、そそくさと体操服に着替え更衣室を後にする。中には顔を赤らめる奴まで。
おい、ヤメろ。そんな目で見るな。何で僕が居た堪れ無い気持ちにならにゃならんのだ。
後に残るのは幼馴染の和樹のみだ。大抵僕は急激に広くなったかの様な更衣室で、和樹と2人か、自分1人で寂しく着替えるのが常になった。
しかしこれはまだ序の口だ。
例を挙げよう。
着替えを終え、更衣室をでてグラウンドへ向かう。その日は男女別のサッカーであった。集合の時には既に男女別にわかれており、点呼が始まる。体育教諭の名前を呼ぶ声に、サッカーを楽しみにしているのか元気に、サッカーを、もしくは運動が苦手な奴はゲンナリと返事をする。
しかしこの流れが不意に途絶える。体育教諭の『葵咲、何故君が男子の列にいる。女子はあっちだぞ』の声で。
この高校が私立であろうが、わざわざ男女で別々のデザインの体操服を作るなどという金の浪費をしない。
ましてや、あの絶滅危惧種並に生息範囲を削られているブルマーなる装備がこの高校に存在しているわけでは無い。
外部装備での識別信号を出せ無い現場では、誠に遺憾だが、かなりの確率で女子と認識される。
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