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だが、それは名簿を確認すれば済む事。僕が男だと指摘すれば最初訝しんだ目で見てくるが、ちゃんと名簿の性別欄を確認してくれ、自分のミスを認めてくれるあたり、さすが教師と言った所か。
後になって考えて見ると、初めから男女別で名簿も作られているはずなので、名簿を見て僕の名前を呼んだ時点で僕が男子生徒であると証明されている筈なのだが……
この教師、目に異常が有るのではないか?文字認識を見誤るという点僕の容姿は関係無いだろ!ちゃんと健康診断受けたんだろうな!
それでも僕を女子と思い、名簿の方のミスだと思う教師が出てきた時には、この高校の雇用体制に不安を抱いた僕だった。
そんな時の為、パスケースに保険証をいれ、紐をつけ首に下げている。さすがに政府地方団体が発行しているものにケチはつけまい。
そんなこんなで、何とか男子として授業に参加しても、僕に降りかかる災難は止む気配を見せなかった。
前に言った様に、見た目キリッとしたお姉さん風の女子である僕である。会話すらぎこちない男子クラスメイトの中に混じってまともにサッカーなど、出来る筈も無かった。
味方チームは僕の容姿から遠慮してパスを回さない。チーム全員で!という体裁を出す為か稀にパスも来るのだが、男子同士でのパスの勢いでなく、男子が女子に気を遣い優しく回すそれである。
そして僕がボールを持ってる時は、敵チームは一応マークを付けるが体裁だけで全く意味の無いものであり、運が良ければ僕1人で敵ゴール手前まで持って行ける程である。ならば、ゴールを決める事ができるかと言われれば出来ない。
彼ら敵チームは僕がシュートを狙いボールを放つと同時に寄ってたかってボールにぶつかりに行き、いざ自分のチームの誰かがボールをキープすると一気に場の雰囲気が変貌する。
その瞬間僕を残し闘志を再び燃え滾らせ、先程の僕に対する余所余所しいプレイ姿は霞の如く消え去り、僕がボールを持っていた時のもどかしさなど諸々の鬱憤を晴らす為、鬼の如き形相をし怒涛の攻めで僕らのチームのゴールに突き進む。
後には僕と彼ら敵チームのゴールキーパーだけが残され、気不味い空気が漂うのだ。
何のイジメだ、これは。
逆の立場で想像するに、男子の中に女子が1人いるのはやりにくい。
気持ちは分かる。気持ちは分かるが僕は男だ。もしイジメで無いなら、僕の方が居た堪れ無いのを察してくれ。頼むから……
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