ラプソディー

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「まぁ、若女将。 破局させるおつもり?」 「先代の女将にもあそこには恋人を泊めてはならないとあれ程言われていたのに」 仲間の仲居達は口々に若女将を責め立てる。 「……あの人達は何か違う気がするんです。 何かを秘めてるような」 真っすぐに仲居達を見ながら若女将は言う。 「勝手な判断で動くとこがまた女将としてなってないんです!」 先程の仲居が嫌味混じりに怒鳴り付ける。 「私少し出掛けてきます」 ふと時計を見て若女将はバックを持った。 「……逃げるんですか?」 先程の仲居が若女将を睨みつけた。 それにつられ他の仲居達も若女将をジロリと見る。 「墓参りの時間ですから」 そう答えると若女将は寂しげな笑みを浮かべた。 「あ……」 仲居達はハッとした。 いつもこの時間に若女将は亡くなった旦那の墓参りに行く事を知っていたから……。 *** 「あら、あなた達は……」 若女将に怒鳴った仲居は、裏庭でぼんやりと外を眺めるあのカップルに出会った。 「あ、先程の仲居さん」 二人も仲居に気づき会釈する。 「先程は無理言ってすみませんでした」 女は仲居に深々と頭を下げた。 「……若女将に止められてたのですが、どうしてもあなた方にはあの部屋の事話とかなくてはと思いまして……」 意を決し仲居は二人を見つめた。 「立ち話も何ですから、私の部屋でお話しませんか?」 仲居の背後から若女将がふらりと現れた。 「若女将!」 若女将の登場に仲居は驚く。 「私からお話しましょう。 それが私の使命ですから……」 そう言うと若女将は少し寂しげに笑った。 若女将の顔を見て仲居はさっさと戻って行った。 *** 若女将は二人を自分の部屋に招き入れた。 「どうぞ」 熱いお茶を若女将は二人に差し出した。 「ありがとうございます」 二人はほぼ同時にお茶を飲んだ。
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