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「まだまだここの人達に認められてませんし、喧嘩も絶えませんが一つ一つ解決し仲良くやっていこうと思ってます」
若女将は決心が付いたように強い眼差しで言う。
「とことんぶつかって喧嘩して仲直りしてお互い認めあえる存在、信頼できる存在ですね。
あたし達も兄達に教えられました」
胸に手を当て女はそっと目を閉じた。
「だから今こうしていれるのかもしれません」
女の肩を男は優しく抱き寄せた。
「あっ……。
今若いカップルが微笑んでいたような」
若女将は中庭の方を見て言う。
「あたしも見えたわ」
女は満面の笑みを浮かべる。
「俺も見えた。
紛れも無く俺達の兄弟だ」
うんと頷き男も笑った。
「いつも見てるよって言ってくれてるのかもしれませんね……」
優しい口調で若女将は言う。
どんな困難があっても例え喧嘩してもちゃんと仲直りして、幸せそうにしている二人の姿は三人の胸に深く刻まれた……。
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お客様をもてなさなくてはいけない立場でありながら、色々な事をこのお客様から学びました。
このお二人が帰られた後、不思議な事にカップルの霊を見たというお客様がいなくなりました。
むしろあの別れ話はなくなり、あの部屋に泊まると不思議と直ぐに仲直りできたり結ばれたりするお客様が増え口コミで広がり半年先まで予約で一杯になりました。
不思議なそしてロマンティックな旅館の話。
絶えず継がれていくといいなと思っています。
これはあのお客様と天に召されたカップルからのプレゼントなのかもしれません。
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