十年愛

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『……酔ったフリして忘れてやるよ』 仁、素直に好きと言えない俺を、許して… 重なる唇に、抱きしめられる体温に感じる仁の…想い なんでもっと早くこうしなかったんだろう… そうすれば、気持ちがすれ違う事もなかったのかもしれない どうか、俺の想いも仁に届いてますように…… ――ううん、伝わりませんように… そして、結婚式当日 仁の控え室へ向かう 昨夜の想いは胸にしまいドアをノックした 『仁…結婚おめでとう 幸せになれよ』 笑顔を向けてお祝いの言葉を言った 振り向いた仁も笑顔で 「かず…、ありがとう」 時が止まったように見つめ合う すると、仁はゆっくり一歩ずつ近づいてきて俺の目の前に立った 揺れる瞳を、どうか気づかないでほしいなんて願っていたら ギュッと抱きしめられて、耳元で何かを囁かれた 「―――……」 言葉を訊いた俺は目を見開き、溢れそうな涙をグッと堪える 腕を解いて仁は控え室から出て行った 囁かれた言葉を胸の中で噛みしめる 「これからもずっと、かずを愛してるから…」  
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