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『……酔ったフリして忘れてやるよ』
仁、素直に好きと言えない俺を、許して…
重なる唇に、抱きしめられる体温に感じる仁の…想い
なんでもっと早くこうしなかったんだろう…
そうすれば、気持ちがすれ違う事もなかったのかもしれない
どうか、俺の想いも仁に届いてますように……
――ううん、伝わりませんように…
そして、結婚式当日
仁の控え室へ向かう
昨夜の想いは胸にしまいドアをノックした
『仁…結婚おめでとう
幸せになれよ』
笑顔を向けてお祝いの言葉を言った
振り向いた仁も笑顔で
「かず…、ありがとう」
時が止まったように見つめ合う
すると、仁はゆっくり一歩ずつ近づいてきて俺の目の前に立った
揺れる瞳を、どうか気づかないでほしいなんて願っていたら
ギュッと抱きしめられて、耳元で何かを囁かれた
「―――……」
言葉を訊いた俺は目を見開き、溢れそうな涙をグッと堪える
腕を解いて仁は控え室から出て行った
囁かれた言葉を胸の中で噛みしめる
「これからもずっと、かずを愛してるから…」
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