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浮かんだ考えは
――この指に触れたい
触れてどうすんだ、とか
俺、何考えてんだ、とか
自分でちょっと動揺したけど
この指先に触れたい
この指先で触れて欲しい
そんな思考が頭をグルグル廻って、他に考えられなかった
あの柔らかそうな指で
頬に
髪に
項に
躯に
触れて欲しい
――…ああ、俺
アイツの指先に欲情してんだ…
気づいて血の気が引いた
マジ何考えてんの?
男のアイツに…俺が…?
認めたくなかった
俺がアイツに……
惚れてるなんて………
その日の撮影はいつも以上に集中して、スムーズに事が進んでいった
合間の、みんなとのコミュニケーションもハイテンションで…
内や手越が心配そうな顔で見ている
でも、そうでもしないと自分が崩れそうだった
アイツの事を考えないようにしないと俺は…
でも、順調に仕事が進めば、その分巻いて終わるわけで…
予定より2~3時間も早く撮影終了し、その上翌日も午後からの仕事
1人になりたくなくて、みんなを飲みに誘うけど、朝から仕事や予定があるからと断られてしまった
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