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だがそんな一人だった学生時代でも一時期だが俺の隣に佇んでいる者がいた。
そう、あいつと出会ったのは今みたいな夕日が綺麗な時期だ。
俺は、確か先公に停学を告げられた苛立ちを忘れるためにこの場所、このベンチで夕日を見ようと思って立ち寄ったらそいつはいた。
しかも俺の指定席のベンチに威風堂々、ここは我の物なりと思える態度で座っていやがった。
それが俺とあいつの初対面だった。
俺に気づいた色黒のそいつは俺から視線を外すことなくジーっと俺を睨み付けてきた。
今思い出せば、その死んだ魚みたいな瞳は、まるで俺の心を全て見透かされているようだったな。
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