破章:奮闘と結実

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「それでは、作戦会議を始めたいと思います」 翌日の放課後、誰もいない教室に、柔の声が響き渡る。 「その前に、まず1つお聞きしたい事が。 先輩は、真田先輩とどこまで行きたいんですか?」 「ど、どこまでって……」 私はその言葉を聞いて、少し顔を赤らめる。 「つまり、真田先輩と手をつなぐだけで終わりたいのか、それともキスまでしたいのか、はたまた×××までしたいのか、と言う事ですよ!」 「ちょ……、そんな恥ずかしい単語を大声で言わないでちょうだい!」 私はさらに顔を赤くし、そのまま反射的に柔を殴り飛ばす。 「で、結局どこまで行きたいんですか?」 「復活早っ」 「まあ、鍛えてますから」 「あっそう」 「で、どうなんです?」 「……それはまあ、私だって行ける所まで行きたいとは思ってるけど」 「わかりました。 ではまず、こちらをご覧下さい」 柔がそう言うと、どこからともなく、フローチャートが書かれたホワイトボードが現れた。 「恋愛において重要なのは、第一印象、第二衝撃、日常的な単純接触の三点です。 先輩の場合、第一印象と日常的な接触については十分に行われています。 その為第二衝撃、つまりはギャップの形成が、これから必要になってくるわけです」 「ギャップって?」 「まあざっくり言えば、第一印象とも日常の印象とも違う、その人の新たな一面と言う事です」 「なるほど……」 「と言う訳なので、先輩には今週末の日曜日、デートをしてもらいます!」 「え、誰と?」 「そんなの、真田先輩とに決まってるじゃないですか!」 「……ええ~!? そ、そんな事いきなり言われても、心の準備が……」 柔のあまりに突然の提案に対し、私は顔を真っ赤にしながらうろたえる。 「何を言ってるんですか! 相手はあの真田先輩。一瞬でも躊躇していたら、その隙に誰かにさらわれてしまうかもしれませんよ!」 「そ、それは嫌だけど……」 「でしたら、腹をくくって下さい。 既にセッティングは終わってますから、後は先輩の覚悟だけです」 「むう。わ、わかったわ」 今更引き下がるわけにも行かないので、私はうろたえつつも、デートに向けての覚悟を決めるのだった。 ……
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