24人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでは、作戦会議を始めたいと思います」
翌日の放課後、誰もいない教室に、柔の声が響き渡る。
「その前に、まず1つお聞きしたい事が。
先輩は、真田先輩とどこまで行きたいんですか?」
「ど、どこまでって……」
私はその言葉を聞いて、少し顔を赤らめる。
「つまり、真田先輩と手をつなぐだけで終わりたいのか、それともキスまでしたいのか、はたまた×××までしたいのか、と言う事ですよ!」
「ちょ……、そんな恥ずかしい単語を大声で言わないでちょうだい!」
私はさらに顔を赤くし、そのまま反射的に柔を殴り飛ばす。
「で、結局どこまで行きたいんですか?」
「復活早っ」
「まあ、鍛えてますから」
「あっそう」
「で、どうなんです?」
「……それはまあ、私だって行ける所まで行きたいとは思ってるけど」
「わかりました。
ではまず、こちらをご覧下さい」
柔がそう言うと、どこからともなく、フローチャートが書かれたホワイトボードが現れた。
「恋愛において重要なのは、第一印象、第二衝撃、日常的な単純接触の三点です。
先輩の場合、第一印象と日常的な接触については十分に行われています。
その為第二衝撃、つまりはギャップの形成が、これから必要になってくるわけです」
「ギャップって?」
「まあざっくり言えば、第一印象とも日常の印象とも違う、その人の新たな一面と言う事です」
「なるほど……」
「と言う訳なので、先輩には今週末の日曜日、デートをしてもらいます!」
「え、誰と?」
「そんなの、真田先輩とに決まってるじゃないですか!」
「……ええ~!?
そ、そんな事いきなり言われても、心の準備が……」
柔のあまりに突然の提案に対し、私は顔を真っ赤にしながらうろたえる。
「何を言ってるんですか!
相手はあの真田先輩。一瞬でも躊躇していたら、その隙に誰かにさらわれてしまうかもしれませんよ!」
「そ、それは嫌だけど……」
「でしたら、腹をくくって下さい。
既にセッティングは終わってますから、後は先輩の覚悟だけです」
「むう。わ、わかったわ」
今更引き下がるわけにも行かないので、私はうろたえつつも、デートに向けての覚悟を決めるのだった。
……
最初のコメントを投稿しよう!