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「うう~っ……」
そして週末、柔に言われた場所で待っている私は、自分の格好を見てはこのように呻いていた。
「いくら自分で決められなかったからとは言え、この格好はどうなのかしら……」
どういう服を着れば良いかがわからなかったので英に協力してもらったのだが、正直こういった派手な格好、特に丈の短いスカートなんかは穿いてて全然落ち着かない。
「それに、本当に先輩がこういった格好を気に入ってくれるのかも疑問ね。
もしかしたら、そんなチャラチャラした格好の女は好かん!とか言われたりして……」
「何をぶつぶつと言ってるんだ?楠」
「わっ、真田先輩!!」
そこにいきなり真田先輩が現れて、私は驚きのあまり変な声を上げてしまった。
「いやいや、そんなに驚かなくても」
「す、すみません……」
「別に責めた訳じゃないって。
それにしても、こう言っては何だが、楠に部活の相談をされるとは思わなかったな」
「え?」
「まあいいか、それじゃあ行くとしよう」
先輩はそう言うと、私を誘導するように先を進む。
(……ああ、柔がそうやって誘ったのか)
納得した私は、そのまま先輩の後に続いた。
……
「で、相談って言うのは?」
間もなくして、私達はとある喫茶店に入った。
「えっと、その……」
「っと、いきなり本題は野暮だった。
まずは世間話でもしようか」
緊張している私に対して、先輩はそっと微笑みかけてくれる。
「とは言っても、楠とどういう話をしたらいいんだろうな?」
「え、えっと……」
その問いかけを受けて、私は考えるような仕草をしながら、柔に言われた言葉を思い出す。
『とにかく重要なのは、先輩のイメージを変える程のギャップを見せ付けることです。
二面性を見せる事で、真田先輩の先輩に対する興味がさらに深まるはず。まずはそこからです』
(って事は、とりあえず真田先輩の私に対するイメージを聞きださなきゃ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、まあ先輩は敵じゃないけど)
なんて事を考えながら、私は気合を入れ直す。
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