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「すみません……」
「まあ、嘘をつくのは感心しないな。
俺の事が知りたいなら、そう言ってくれれば良かったのに」
「でも、それも何か恥ずかしいと言うか」
「まあ確かに、改めてって言うのもそうだな。
そしたら再来週の日曜日、暇か?」
「え?特に何もありませんけど」
「それなら今日と同じ場所、同じ時間でまた待ち合わせだ。今度はきちんとデートをしよう」
先輩は囁くようにそう告げると、私の頭を撫でて去って行った。
「先輩、また私とデートをしてくれるって……」
真っ赤になっていた私の顔に、徐々に笑みが浮かんできて、
「やったー!!」
そして人目をはばからず、大声で喜びを露わにするのだった。
……
「……て言う事があってね!
もう本当に嬉しくて、その場で大声を出したら、周りの人に冷たい目で見られちゃってさー!」
その翌日、私は柔を呼び出して、前日の顛末を報告した。
「そ、そうですか。
それは良かったですね……」
「ん、どうした?
……はは~ん。私と真田先輩が上手くいってるの、本当は嫌なんだね?」
「そ、そんな訳無いじゃないですか!
僕は先輩たちを結ぶために、先輩に協力してるんですから!」
「そんな事、沈んだ顔で言われたって説得力無いわよ~?」
「うっ……」
「ふふっ、可愛い反応してくれるじゃない。まあそんなに落ち込みなさんなって」
うなだれる柔の首に片腕を回し、そう声をかける。
「そ、そんなことより!
そのデートではどこに行くんですか?」
「あらまあ、顔を赤くしちゃって。
まあいいわ。昨日先輩から来たメールによると、遊園地に行くんだって」
「遊園地、ですか……。
そうすると、かなり綿密な計画が必要ですね」
「ん、そうなの?」
「バラエティに富んだ施設がある場所ですから、どこに行くかによって対応も千差万別なんです」
「ふーん、そうなの……。
だったら来週の日曜日、一緒に下見に行きましょう」
「……ええっ!
い、いいんですか!?」
「そりゃまあ、現地を見て計画を練ったほうがいいでしょう?
それに柔には世話になったから、お礼のひとつでもしないと」
「ありがとうございます!
それでは早速、家に帰ってプランを練ってきますね!」
そう言ったかと思うと、柔は上機嫌を露わにしたまま、風の様に去って行った。
「……ふふっ、本当に面白い奴」
……
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