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「お、お待たせしました!」
「遅い!
女性を待たせるだなんて、いい度胸してるじゃないの」
そして日曜日、待ち合わせに20分ほど遅れて柔が到着した。
「すみません、服を選ぶのに時間がかかっちゃって」
「女の子かっての。
それに、今日はあくまでも視察なのよ?お礼はそのついで。
あんたが着飾ったって、しょうがないじゃない」
「それはわかってるんですけど、つい……」
「まあいいわ。
遅れた分の埋め合わせは、きちんとしてもらうから。それじゃあ行くわよ!」
「って、先輩が前を歩いていらっしゃいますけど、場所わかるんですか?」
「……知らない」
……
「へえ~、遊園地ってこうなってるのね」
「先輩は来たことないんですか?」
「まあ、休みの日と言えば稽古ばっかりだったから。それはそれで得るものがあったからいいんだけど」
「なるほど……」
「あ、あれなんか面白そうね」
「って、いきなりジェットコースターですか」
「ダメなの?」
「別にそういう訳ではないですけど、少し飛ばしすぎではないかと……。って、ちょっと!」
私は柔の助言を聞かずに、そのままジェットコースターの方へと進んでいった。
……
「ううっ……」
「あー、楽しかった!」
顔色の悪い柔と対照的に、私は結構満足していた。
「さて、次に行きましょうか」
「ちょ、ちょっと待ってください……」
「何よ、だらしないわねー」
「すみません、ああいうのは苦手で」
「……そ。
それは悪い事をしたわね、少し休みましょうか」
「いえ、先輩にそんな気を使わせるわけには……」
「何言ってるのよ。
そんな風に疲れてる時点で、十分気を使わせてるっての」
「うっ……」
「と言う訳で、あそこのベンチに座りましょう」
私は先にベンチに座って、後から来た柔の頭を私の膝の上に乗せる。
「わわっ、何を!?」
「いいから、大人しくしろ!
昔何かで、男性はこういう事をすると喜ぶって覚えたのよ」
私は柔の頭を押さえつけ、寝かせた体勢のまま大人しくさせる。
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