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「で、どうなの?」
「その、凄く気持ちいいです……」
「そう。
真田先輩には通用するかしら?」
「え?
あ、えっと……」
「もしかして、ただボーっとしてただけ?」
「すみません、この状況があまりにも幸せ過ぎて、つい……」
「ふーん。
まあいいわ。で、どうなの?」
「そうですね……。
先輩が積極的にするのは止めた方がいいと思います。真田先輩に求められた時に、戸惑いながら膝を貸す感じで」
「なるほど」
「それから、これはあまり早いうちは止めた方がいいです。
できれば午後、昼食後少し経って疲れが溜まって来た辺りでやって下さい」
「了解。
それじゃあ、次に行きましょうか」
「え、もうですか?」
「当たり前でしょ。
作戦が立てられた以上、もうこうしてる必要はないんだから」
「そ、そうですよね、あはは……」
「いかにも残念って顔ね」
「あ、いや、その……」
「ふふっ、そんなにうろたえなくてもいいじゃない。正直に認めたほうが可愛いわよ。」
「か、可愛いって……」
「さて、さっさと行くわよ!」
顔を赤くする柔の手を引っ張って、私は次のアトラクションへと向かった。
……
「何よこの馬、随分のろいわねー。もっと早く走りなさいよ!」
「先輩、叩かないで下さいよ!
メリーゴーランドってそういうものですから、ってああ、ひびが!」
……
「そうそう、こういうのよ!
やっぱりスピード感がないとね~」
「だからって、コーヒーカップをそんなに早く回しちゃ……うっぷ」
……
「うわー、高いわね~!」
「それはまあ、頂上まで200mありますから」
「へえ、そうなの」
「1周1時間程かかる為、男の技量が試されるスポットとしても名が知られています」
「どういう事?」
「そんなに長い時間同じ空間にいたら、自然と飽きてしまいますから。それを男の持つ会話力等でカバーする訳です」
「なるほど、まあ真田先輩だったら問題ないわね」
「ちなみに、ここのアトラクションがごく基本的な作りであるのは、環境的条件に依存する事なく、純粋に相手を見て欲しいとの製作者側の狙いがあるからなんです」
「ふーん、色々考えてるんだ」
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