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「静がわかり易いって事。あんたの顔、恋に悩む乙女のそれだったわよ。
で、静にそういう気配が全く無い事を含めて相手を考えれば、面識もあって校内NO,1男子である真田先輩しか思い浮かばないって訳」
「そ、そうなんだ」
「にしても、男なんて向こうから寄ってくるって言うのに、とんでもなく競争率の高い相手を好きになったわねー」
「そんなの、別にいいじゃない」
「まあ、悪いとは言わないけどさ。
正直言って、今の静には女らしさが全然足りないから、勝つのは困難かもよ?」
「ま、まあそうかもしれないけどさあ……」
昔から男勝りだと言われている私だから、今更女らしさを出すのは難しいかもしれない。
「でも、頑張りなさいよ。
私は静を応援するから」
「それじゃあ、私がどうしたらいいのか、一緒に考えてくれないかな?」
「あー、悪いけどそれは無理。
ただの男勝りならまだしも、校内で鬼と恐れられる様な人の恋愛を成就させる手段なんて、私には到底思いつかないわ」
「うっ……」
現実を突きつけられた私は、授業が始まってもその事について考え続けてしまうのだった。
……
(はあ……。鬼、か。
まさかこれが障害になるなんて。)
昼休みになってもなお、私は昼食をろくに口を運ばずに考え続けている。
私は部活の指導はもちろん、自他に対してとても厳しい性格なので、学校では鬼と呼ばれ、畏怖の念を抱かれている。
自分ではそう呼ばれる事をむしろ誇りに思っていたのだが、こうなってくると話は別だ。
「うーん、これは本当に打つ手が無いのかも」
「いや、そんな事は無いんじゃない?」
すると、のんきな顔で昼食を食べながら、英が近づいて来た。
「って、さっき自分で無理って言ったんじゃない」
「ああ、あれは万が一を考えて、余計な期待を持たせない様に言っただけ。
静は男にモテるんだから、きちんと考えれば策が無い訳でもないわよ」
「えっ、それじゃあ何か考え付いたの!?」
私は身を乗り出し、英の次の言葉を待つ。
「流石に具体的な計画までは無理だったけど、静の武器を一通り洗い出す事は出来たわ」
「って言うと?」
「それはズバリ……、これよ!」
英はそう短く叫ぶと、素早く私の後ろに回り、体に手を這わせて来る。
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