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「え、ストーカーにあったの!?」
「しっ、声が大きい!」
翌日、私は一応英に昨日の事を相談した。
「へえ~。世の中には、随分と度胸のある奴もいるもんね。
静をつけるなんて、いつ命をとられたっておかしくないって言うのに……」
「素人相手に手は出さないから。
で、英はストーカーの正体誰だと思う?私が角で待ち構えてるわずかな気配を察知した訳だから、ただ者じゃないと思うんだけど」
「さあ?そんなのわからないわよ。
静をつけたい男なんて、いくらでもいるだろうし」
「……」
「ただ、これは私の女の勘なんだけどね。
恐らくこの学校の生徒、それも1年生だと思うわ」
「勘、ねえ。
もっときちんとした根拠は無いの?」
「ええ、無いわ」
「あっそ……」
……
(やっぱり、学校からつけられてたみたいね。
英の勘、意外と間違っていないのかも)
部活が終わって帰宅する途中、昨日より集中して気配を探った結果、それが判明した。
(今日こそ逃がさないわよ。
そっちが私の気配を探れるって言うなら、こっちは……)
私は昨日と同じ角に隠れ、気配が近づいて来るのを待つ。
「……?」
「やっと会えたわね、ストーカーさん」
「!!」
「私が昨日と同じ場所で待ち構えてるのが、そんなに不思議だった?
でも、それがあなたの隙。私が昨日とは違う手であなたの正体を探ろうとしてるんじゃないかって言う思い込み。
あなたがそれで考えている間に、私は後ろに回らせてもらったって訳」
「……!」
「おっと、逃がさないわよ!」
私は逃げようとするそいつの腕をつかみ、こちらを向かせる。
「うっ……」
「あ、あなた……。
女の子みたいな顔してるわね、それに何だかなよなよした感じ。」
「……」
「何かイラッと来るわね……。
あなた、ストーカーするなんてどういうつもり?」
「……くっ!」
「えっ!?」
私が問い詰めた途端、そいつは本当に一瞬の隙をついて、私に一撃を加えると、そのまま脱兎の如く逃げ出した。
「ちょっと、逃げたって無駄よ!
あんたの顔はきちんと覚えたんだからね!」
意外と足の速かったそいつに対して、私はただそう叫ぶことしか出来なかった。
……
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