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雪 -ユキ-
『…あ。』
身体に掛かる圧。
五感すべてに感じる闇…
『毎度…毎度…』
溜息まじりで重い水気を帯びた土をかき分ける。
爪の間、口の中、耳の中にまで砂利や土が入り込む。
ズボッ
掌に光の温かさを感じる。
それと同時に、ヒヤリと冷たい感触。
『出たか。』
渾身の力を振り絞り這い出た。
「ゲホッゲホッ」
咳と共に気管に入り込んだ砂を吐きだすと、思い切り外の空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
「はぁ。もっと簡単な所に捨ててくれないかな…」
僕はどうやら…
“また”殺されたらしい。
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